「彼」って漢字、どんな意味?意外と知らない「彼氏」のルーツも解説!
「彼がね、〇〇なんだ」「彼のことが好き」… 私たちが日常で当たり前のように使っている「彼」という言葉。漢字で書くと「彼」となりますが、この漢字、じっくり見たことや、その意味、そして言葉の成り立ちについて考えたことはありますか?
普段使いの言葉に隠された漢字の面白さを知ると、日本語がもっと好きになるかもしれません。この記事では、「彼」という漢字に隠された秘密や、知っているようで意外と知らない「彼氏」という言葉のルーツについて、分かりやすくご紹介します。言葉の世界を探検してみましょう!
「彼」という漢字を見てみよう【形と読み方】
まずは、「彼」という漢字そのものを見てみましょう。
旁(つくり)の部分に「皮」が入っていますね。そして、偏(へん)の部分は「彳」(ぎょうにんべん)です。この「彳」は「行く」ことや「道」に関係する漢字によく見られます。
読み方としては、皆さんがよく知っている「かれ」や「かの」(「彼の地」など)の他に、「あれ」「あの」といった読み方や、音読みで「ヒ」(「彼岸」「彼我」など)と読む場合もあります。一つの漢字に色々な読み方があるのも、日本語の面白いところですね。
「彼」の漢字の成り立ち【どこから来たの?】
では、「彼」という漢字はどのようにして生まれたのでしょうか? 漢字の成り立ちには、物の形を真似たもの(象形文字)や、意味を組み合わせたもの(会意文字)など様々な種類がありますが、「彼」は「形声文字」(けいせいもじ)に分類されます。
形声文字は、意味を示す部分と音を示す部分を組み合わせてできた漢字です。「彼」の場合は、「彳」(行くこと)が意味を示し、「皮」(ヒという音を表す)が音を示していると言われています。
元々は「他の場所に行く」という意味を表していた漢字だったと考えられていますが、それが借りられて「遠くにある人や物」を指す言葉として使われるようになった、と言われています。遥か遠くの場所を指す「彼岸」(ひがん)という言葉に、その名残を感じることができますね。
「彼」が持つ様々な「意味」【人だけじゃない!】
「彼」と聞くと、「あの男性のことだな」「自分の恋人のことだな」と、人を思い浮かべることが多いと思います。確かにそれが主な意味の一つですが、実は「彼」という漢字は、人以外にも様々な意味を持っています。
- 三人称の人代名詞としての「彼」: これが一番よく使う意味ですね。「話し手と聞き手以外の、あの人(特に男性)」を指す言葉です。「彼がね…」「彼の趣味は…」といったように使われます。
- 遠くの物や場所を示す「彼」: 「かの」と読む場合に多いですが、「彼の地」(かのち:遠く離れた場所)のように、遠くにある物や場所を示すことがあります。「彼方」(かなた:あちらの方、遠い場所)という言葉も同じような意味合いですね。
- 「彼我」のように相手やあちら側を示す意味: 「彼我」(ひが)という言葉を聞いたことがありますか? これは「相手と自分」「あちらとこちら」という意味で使われます。「彼我の差」といったように、比較する文脈で使われることが多いです。
このように、「彼」という漢字は、文脈や読み方によって、人を指したり、場所を指したり、相手側を指したりと、色々な顔を持っているんです。
「彼氏」ってどういう意味?【意外と新しい言葉!?】
そして、「彼」という漢字を使った言葉として、皆さんがよく使うのが「彼氏」(かれし)ですよね。これは「恋人である男性」を指す言葉です。
この「彼氏」という言葉、実は日本語の歴史の中では比較的新しい言葉なんです。なんと、昭和の初め(1920年代後半頃)に生まれたと言われています。それも、「彼女」(かのじょ:恋人である女性)という言葉が先に広まり、その counterpart(対応する言葉)として作られた、という説が有力なんです。
「彼女」という言葉は、もともとは三人称の女性代名詞として使われていましたが、「恋人」という意味でも使われるようになり、それに対応する男性版として「彼氏」が生まれた、と考えられています。「氏」をつけることで、単に「彼」と呼ぶよりも、親しみを込めたニュアンスが加わる、という感覚もあったのかもしれませんね。
「彼」と「彼女」の歴史【言葉遣いの移り変わり】
ここで、「彼」と「彼女」の面白い歴史に触れてみましょう。現代日本語では、「彼」は男性を、「彼女」は女性を指すのが一般的ですが、実は明治時代より前は、男女の区別なく三人称の人代名詞として「彼」が使われていたと言われています。
西洋の言語(特に英語の he と she の区別)が日本語に翻訳される際に、男女を区別する必要が出てきて、「彼女」という言葉が作られ、広まっていったと言われています。つまり、「彼」と「彼女」の使い分けは、比較的近代になってからの変化なんですね。言葉って、時代と共に変化していく生き物のようなものですね。
日本語って面白い!【漢字や言葉の奥深さ】
普段、当たり前のように使っている「彼」という漢字や言葉。その成り立ちや意味、そして「彼氏」という言葉の意外なルーツを知ることで、日本語の奥深さや面白さを感じていただけたのではないでしょうか。
漢字一つ、言葉一つに、長い歴史や文化、そして人々の感覚の変化が込められています。こうした言葉の背景を知ることは、日本語を学ぶ上で、そして日本文化を理解する上で、とても豊かな経験になります。
おわりに:言葉の面白さを楽しもう!
「彼」という漢字や言葉に隠された物語、いかがでしたか? これからは「彼」という言葉を使う時に、ちょっとだけその背景を思い出して、言葉の世界の面白さを楽しんでみてくださいね。
日本語には、まだまだたくさんの発見や面白さが隠されています。言葉に興味を持つことが、あなたの世界を広げるきっかけになるかもしれません。ぜひ、これからも言葉の探検を楽しんでくださいね!