成年後見制度のメリット・デメリットと利用手続き:大切な家族のために知っておきたいこと
「親の認知症が心配…」「将来、自分の財産管理はどうなるんだろう?」
そうした不安を抱えている方へ。もしもの時に大切な家族の財産や生活を守るための仕組みとして、「成年後見制度」があります。
しかし、「なんだか難しそう」「家族にデメリットはないの?」と、利用をためらう方も少なくありません。
この記事では、成年後見制度のメリット・デメリット、種類、そして具体的な利用手続きまで、専門家でなくても分かるように分かりやすく解説します。
成年後見制度とは?2つの種類と役割
成年後見制度は、認知症や障がいなどで判断能力が不十分な方を、法律の力で守り、支援するための制度です。本人の代わりに財産管理や介護・福祉サービスの手続きなどを行います。
この制度には、主に以下の2つの種類があります。
法定後見制度:すでに判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所が成年後見人を選任する制度です。
任意後見制度:将来のために、判断能力があるうちに、誰に財産管理などを任せるかをあらかじめ契約で決めておく制度です。
「いつか必要になるかも…」と考えている方は、「任意後見制度」の準備を始めるのが良いでしょう。すでに親やご家族の判断能力が低下している場合は、「法定後見制度」を利用することになります。
成年後見制度のメリットとデメリット
成年後見制度は、本人の保護が第一目的ですが、メリットとデメリットを理解しておくことが重要です。
メリット
財産管理の安心:本人の財産を不正な契約や悪徳商法から守ることができます。
適切な介護・福祉サービス:必要な介護契約や医療機関との手続きを、成年後見人が代行してくれます。
家族の負担軽減:本人に代わって煩雑な手続きを成年後見人が担うため、介護や財産管理で苦労している家族の負担を減らせます。
銀行手続きが可能に:認知症などで口座が凍結されてしまった場合でも、成年後見人が銀行などの金融機関と手続きを行うことで、預金を引き出すことができます。
デメリット
本人の意思が反映されない可能性:成年後見人は本人の財産を保護するため、本人が浪費を望んでいても、その意思を尊重できない場合があります。
親族がなれるとは限らない:家庭裁判所が成年後見人を選任するため、弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることもあり、必ずしも家族がなれるわけではありません。
費用が発生する:成年後見制度の申立てにかかる費用に加え、成年後見人への報酬が毎月発生します。
成年後見制度の利用手続きと流れ
成年後見制度の申立ては、基本的に家庭裁判所で行います。全体の流れは以下の通りです。
申立ての準備:申立てに必要な診断書や戸籍謄本などの書類を準備します。
申立て:家庭裁判所に成年後見制度の申立てを行います。
審理・調査:家庭裁判所が申立書の内容や、本人・後見人候補者の状況を調査します。必要に応じて鑑定が行われることもあります。
審判:家庭裁判所が成年後見人を選任します。
後見開始:選任された成年後見人が、後見業務を開始します。
この手続きは複雑なため、司法書士や弁護士などの専門家に相談しながら進めるのが一般的です。
まとめ:大切な人の未来を守るための第一歩
成年後見制度は、財産管理や介護で悩んでいるご家族にとって、大きな支えとなる制度です。
メリット・デメリットを理解し、法定後見制度と任意後見制度の違いを知ることは、大切な人の未来を守るための第一歩となります。
成年後見制度についてさらに詳しく知りたい方は、お近くの弁護士や司法書士に相談してみるのも良いでしょう。