【弁護士が解説】ネットの誹謗中傷、泣き寝入りしないための法的解決策
見知らぬ人からの攻撃的なコメント、事実に反するデマ、個人の特定…。インターネット上で誹謗中傷を受け、深く傷つき、どうすればいいか分からず泣き寝入りしていませんか?
「匿名だから特定できない」
「弁護士に頼むのは費用がかかるし…」
そう思って、諦めてしまう必要はありません。適切な法的手段を取れば、相手を特定し、責任を追及することは十分可能です。
この記事では、ネットトラブルの解決に詳しい弁護士の視点から、誹謗中傷の解決に向けた具体的な法的手段と、その流れ、必要な費用について分かりやすく解説します。
1. 誹謗中傷の被害に遭ったら、まずは冷静に!初期対応の3ステップ
感情的にならず、まずは落ち着いて以下の3つのステップを踏みましょう。これが後の法的手段を取る上で非常に重要になります。
証拠を保全する(スクリーンショットの撮影など)
投稿はいつ削除されるか分かりません。まずは、誹謗中傷の投稿があったサイトのURL、投稿日時、投稿者のID、そしてコメントや画像をスクリーンショットで残しましょう。
投稿の削除を依頼する
サイトの運営者やプロバイダに連絡し、投稿の削除請求を依頼します。サイトによっては、削除ガイドラインが定められているので、それに沿って対応しましょう。
専門機関に相談する
被害が深刻な場合は、一人で抱え込まず、すぐに専門家へ相談しましょう。相談先としては、弁護士、警察、法務省などが挙げられます。特に弁護士は、その後の法的手段をスムーズに進めるための最適なパートナーになります。
2. 法的解決策の基本:民事と刑事の違い
ネットの誹謗中傷に対する法的手段は、大きく分けて「民事」と「刑事」の2つがあります。
民事:相手に損害の賠償を求めるもの。
損害賠償請求(慰謝料):名誉毀損やプライバシー侵害によって受けた精神的な苦痛に対する慰謝料を請求します。
削除請求:問題の投稿を削除するよう、サイト運営者や投稿者に請求します。
刑事:誹謗中傷を行った相手の犯罪行為として罰を求めるもの。
刑事告訴:名誉毀損罪や侮辱罪など、刑法上の罪に問うために、警察に被害を申告します。これにより、相手は罰金や懲役などの罰則を受ける可能性があります。
3. 【本丸】匿名投稿者を特定する「発信者情報開示請求」とは?
匿名の投稿者を特定する法的手段として最も有効なのが、「発信者情報開示請求」です。これは、サイト運営者やプロバイダに対し、投稿者の氏名や住所などの情報開示を求める裁判手続きです。
開示請求の流れと手順
開示請求は二段階の手続きが必要になります。
まず、サイト運営者に対してIPアドレスの開示請求を行います。
次に、そのIPアドレスを元に、投稿者が利用したプロバイダを特定し、プロバイダに対して投稿者の氏名や住所の開示請求を行います。
自分でできる?弁護士に依頼するメリット
発信者情報開示請求は、個人で進めることも可能ですが、非常に専門的な知識や手間が必要になります。弁護士に依頼すれば、必要な証拠集めから裁判手続きまで、すべて任せることができ、成功率も高まります。
費用と期間の目安
弁護士に依頼する場合の費用は、着手金や成功報酬などを含め数十万円からが一般的です。期間は、裁判の進み具合によって数か月から1年程度かかる場合が多いです。
まとめ:一人で悩まず、専門家と共に一歩踏み出す勇気を
ネットの誹謗中傷は、被害者の心を深く傷つけます。しかし、もう「どうしようもない」と諦める時代ではありません。
今回ご紹介したように、発信者情報開示請求や刑事告訴といった具体的な法的手段があります。
もしあなたが今、誹謗中傷で悩んでいるなら、まずは信頼できる弁護士に相談してください。専門家と共に、一歩踏み出す勇気を持つことが、あなたの未来を守る第一歩になります。